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有料職業紹介事業 許可取得から運営まで
職業安定法 第30条

有料職業紹介事業
許可取得から運営まで

許可要件・申請書類・費用・許可後の年次義務・更新・国外紹介まで
実務ポイントをわかりやすく解説します

1有料職業紹介事業とは

有料職業紹介事業とは、厚生労働大臣の許可を受けて、求職者と求人者の間に立ち職業を紹介する事業です。就職が成立した際に求人者から紹介手数料(成果報酬)を受け取ることができる点が特徴です。一般的に「人材紹介」「転職エージェント」と呼ばれるサービスがこれにあたります。

派遣事業との主な違い
比較項目 有料職業紹介事業 労働者派遣事業
雇用関係 求職者と求人企業が直接雇用契約 派遣元(派遣会社)と雇用契約
収益モデル 成果報酬型(年収の30〜35%が相場) 稼働課金型(時給×稼働時間)
資産要件 純資産500万円・現預金150万円 資本金2,000万円・現預金1,500万円
根拠法令 職業安定法(第30条) 労働者派遣法
許可有効期間 新規3年・更新後5年 新規3年・更新後5年
手数料方式 届出制(年収の%)または上限制 マージン率の開示義務あり

2許可取得の4大要件

有料職業紹介事業の許可を受けるには、職業安定法第31条および許可基準に基づき、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。

💰 要件① 財産的基礎

純資産 500万円以上
  • 資産総額から負債総額を差し引いた額
  • 事業所が複数の場合:500万円×事業所数
  • 融資(借入金)は負債扱い→資産に含まれない
  • 設立直後でも出資額・資本金等で証明可
現預金 150万円以上
  • 自己名義の現金・預貯金の額
  • 事業所2か所目以降:+60万円/事業所

🔒 要件② 個人情報の適正管理

  • 個人情報適正管理規程の策定・運用
  • 取り扱う職員の範囲を社内で明確化
  • 履歴書・職務経歴書の保管・アクセス制限・廃棄ルールの整備
  • 情報漏洩時の対応フロー・苦情窓口の設置
  • 収集禁止情報の管理(思想・信条・本籍・家族構成など)
  • 本人からの開示・訂正請求への対応規程

👤 要件③ 職業紹介責任者

  • 職業紹介に従事する者50人につき1人以上選任
  • 成人後3年以上の職業経験(業種・職種不問)
  • 厚生労働大臣指定の「職業紹介責任者講習」受講(5年以内)
  • 欠格事由(労基法・職安法・派遣法違反歴等)に非該当
  • 苦情対応・個人情報管理・業務調整を統括
  • 講習修了証明書の写しを申請時に添付

🏢 要件④ 事務所・運営体制

  • 固定された事務所(バーチャルオフィス原則不可)
  • 個室またはパーティションによるプライバシー確保
  • 鍵付き書庫等による個人情報の物理的管理
  • 「ハローワーク○○」等の公的機関と紛らわしい名称は不可
  • 手数料表の整備・届出(届出制を採用する場合)
  • 派遣業との兼業時は情報・担当者を明確に分離
※2017年より事務所面積20㎡以上の要件は撤廃。ただし個室・プライバシー確保は必須。

3許可申請の必要書類

申請書は正本1部・写し2部(合計3部)、添付書類は正本1部・写し1部(合計2部)を管轄の都道府県労働局へ提出します。記載内容の不備・矛盾があると審査が長引くため、事前に管轄労働局への相談をお勧めします。

📝 基本申請書類(3部ずつ)
📄 有料職業紹介事業許可申請書(様式第1号) 正本1部・写し2部
📄 有料職業紹介事業計画書(様式第2号) 正本1部・写し2部
📄 届出制手数料届出書(様式第3号) ※上限制手数料の場合は不要
添付書類一覧(2部ずつ)
① 法人に関する書類
  • 定款または寄附行為(職業紹介事業の目的記載必須)
  • 法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
② 代表者・役員・職業紹介責任者に関する書類
  • 住民票の写し(本籍地記載あり・マイナンバー記載なし)
  • 履歴書(職歴・賞罰・役職就任・解任状況を記載)
  • 職業紹介責任者講習受講証明書の写し(責任者のみ)
  • 医師の診断書(精神機能の障害懸念がある場合のみ)
③ 資産・資金に関する書類
  • 貸借対照表・損益計算書(直近事業年度)
  • 株主資本等変動計算書(直近事業年度)
  • 法人税(所得税)の納税証明書(その2)
  • 確定申告書の写し(法人税別表1・4)
④ 個人情報の適正管理に関する書類
  • 個人情報適正管理規程(保管・アクセス・廃棄・苦情対応等)
⑤ 業務の運営に関する書類
  • 業務運営規程(求職受付・苦情処理・手数料等の対応体制を明記)
⑥ 事業所施設に関する書類
  • 建物の登記事項証明書(自己所有の場合)
  • 建物の賃貸借契約書または使用貸借契約書(賃貸の場合)
  • 事務所のレイアウト図(面談室・執務室の配置がわかるもの)
⑦ 手数料に関する書類
  • 手数料表(届出制手数料を採用する場合のみ)
💡 書類省略が認められる場合 派遣元事業主が同時に職業紹介事業の許可申請を行う場合は、①法人書類・②代表者役員書類・③資産資金書類の一部が省略可能です。

4申請の流れ・期間

申請から許可取得までおおむね2〜3ヶ月かかります。事業開始希望日の3〜4ヶ月前には申請を済ませるスケジュールで進めましょう。なお、許可日は毎月1日付で発効されます。
1

事業計画の立案・管轄労働局への事前相談

対象業界・職種・ターゲット層・競合との差別化を事業計画書に落とし込みます。初めての申請の場合は事前に管轄の都道府県労働局へ相談することで、要件確認・書類作成の注意点についてアドバイスが得られます。

2

事業所の準備・資産要件の確認

面談スペースのプライバシーが確保できるオフィスを確保します。純資産500万円・現預金150万円の資産要件も事前に確認し、必要に応じて増資等の対応を行います。

3

職業紹介責任者の選任・講習受講

職業紹介に従事する者50人につき1人以上の責任者を選任します。許可申請前に厚生労働大臣指定の「職業紹介責任者講習会」(1日)を受講する必要があります。講習はオンラインでも受講可能です。

4

申請書類の作成・提出

許可申請書・事業計画書・届出制手数料届出書(各3部)および添付書類(2部)を整えて、管轄都道府県労働局へ提出します。

5

審査・実地調査(2〜3ヶ月)

労働局による書類審査に加え、事務所の実地調査が実施されます。面談スペースのプライバシー確保状況・個人情報管理体制・職業紹介責任者との面談等が確認されます。書類不備があると再提出が必要となり、許可が遅れる場合があります。

6

許可証の受領・事業開始

審査通過後、厚生労働大臣名で許可証が交付されます。許可証には許可番号が記載されており、Webサイト等への許可番号の表示が義務となっています。許可の有効期間は新規3年間です。

5申請にかかる費用

登録免許税
90,000円
許可1件あたり
日本銀行等で現金納付
収入印紙(1事業所)
50,000円
追加事業所ごとに
+18,000円
責任者講習受講料
約10,000円
8,800〜12,500円程度
(機関により異なる)
1事業所の場合の合計目安:約15万円
💡 社労士への代行依頼 書類作成から申請代行まで依頼する場合は、別途15〜20万円程度の費用がかかります(依頼先により異なります)。書類の複雑さを考慮すると、初回は専門家に相談することをお勧めします。

6許可取得後の年次義務

許可を取得した後も、継続的な法的義務が発生します。以下の義務を怠ると、行政指導・最悪の場合は許可取消しの対象となります。

📅 毎年4月30日まで 事業報告書の提出
⚠️ 取扱実績ゼロでも提出必須 毎年4月1日〜翌3月31日を対象期間とした事業報告書を作成し、管轄労働局へ提出します。求職者・求人者の件数、紹介実績、手数料の徴収状況等を記載します。実績がない年も必ず提出が必要です。
📋 変更後30日以内 変更届の提出
⚠️ 届出漏れは行政指導の対象 以下の事項に変更があった場合、変更後30日以内に管轄労働局へ変更届を提出します。 ・事業所の名称・所在地の変更
・代表者・役員・職業紹介責任者の変更
・事業計画の重要事項の変更
🔄 5年以内 職業紹介責任者の講習更新
⚠️ 更新時の添付書類に必要 職業紹介責任者は、5年以内に「職業紹介責任者講習」を受講している必要があります。許可更新時に講習修了証明書の写しが求められるため、期限切れに注意してスケジュール管理が必要です。
🌐 常時 許可番号・手数料の情報開示
⚠️ Webサイトへの表示義務 以下の情報を自社サイト等で常時公開する義務があります。 ・厚生労働大臣許可番号
・手数料の種類・金額または率
・取扱職種の範囲
・事業所の名称・所在地
🚨 行政調査への備え 労働局による立入調査が実施される場合があります。個人情報管理台帳・契約書・事業報告書等の書類を適切に整備し、いつでも提示できる状態を維持してください。

7許可更新の手続き

許可取得
有効期間
スタート
満了3か月前
更新申請期限
⚠️ 厳守
審査(1〜2か月)
書類・財務
審査
有効期間満了
更新後は
5年間有効
更新許可証受領
翌日から
5年間
許可の有効期間
区分有効期間備考
新規許可 3年間 許可日から3年後の同日が満了日
1回目以降の更新 5年間 満了日の翌日から新たな5年間が起算
更新申請の必要書類
  • 更新用許可申請書(様式第1号)
  • 有料職業紹介事業計画書(様式第2号)
  • 貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書(直近事業年度)
  • 法人税の納税申告書・納税証明書(その2)
  • 職業紹介責任者講習受講証明書(5年以内に受講したもの)
  • 定款(目的変更があった場合、(職業紹介事業の目的の記載は必須)
  • 法人の登記事項証明書(代表者・所在地等に変更があった場合)
🚨 期限を過ぎると更新不可 有効期間満了の3ヶ月前を過ぎると、理由を問わず更新申請ができません。期限を逃した場合は、許可が失効し、新規から申請し直す必要があります。スケジュール管理を徹底してください。

8国外にわたる職業紹介

🌏

外国人を日本企業へ紹介する場合

国外にわたる職業紹介を行う場合は、通常の許可要件・書類に加えて、相手先国に関する追加書類の提出が必要です。また、取次機関(現地エージェント)を利用する場合はさらに追加の手続きが発生します。

該当するケース
  • 外国人求職者を日本国内の企業へ紹介する場合
  • 国外にわたる職業紹介における外国人求職者の取扱い

    ① 日本在住の外国人を紹介する場合

    日本国内に居住する外国人求職者を国外の求人へ紹介する場合、通常の日本人求職者と同様の手続きで対応可能です。 相手国(派遣先国)の法令証明書や取次機関との契約書など、追加の外国語書類は原則として不要です。

    • 在留資格・就労可能性の確認は通常どおり行うこと
    • 派遣先国での就労に必要なビザ・許可は求職者自身が取得する
    • 手数料の徴収制限など、職業安定法の規定は日本人と同様に適用される

    ② 海外在住の外国人(国外居住者)を紹介する場合

    国外に居住する外国人を紹介する際は、「国外にわたる職業紹介」としての届出・書類添付が必要となります。 取扱職種範囲等届出書に対象国を明記し、以下の書類(日本語翻訳付き)を添付してください。

    • 派遣先国の職業紹介に関する法令の写し(日本語訳添付)
    • 現地取次機関の事業許可証明書(日本語訳添付)
    • 取次機関との役割分担・責任を定めた契約書(日本語訳添付)
    • 取次機関の代理人届(様式第10号)および日本語訳

    ⚠ 資産管理や渡航費貸付を行う取次機関の利用は禁止されています。 特定技能ビザ(特定技能(在留))の場合は、入国管理局の定める手続きに従ってください。

    対象別 追加書類の要否 まとめ

    求職者の区分 追加の外国語書類 備考
    日本在住の日本人 不要 通常の紹介手続きと同様
    日本在住の外国人 不要 日本人と同等の書類で対応可
    海外在住の外国人 必要(翻訳付き) 取次機関の許可証・契約書等が必要
追加で必要な書類( 相手先国に関する書類)
  • 相手先国の関係法令(職業紹介が認められる根拠規定)およびその日本語訳
  • 相手先国において事業者の活動が認められていることを証明する書類(日本語訳添付)
取次機関(現地エージェント)を利用する場合( 取次機関に関する書類)
  • 取次機関と事業者の業務分担を記載した契約書(日本語訳添付)
  • 相手先国において取次機関の活動が認められていることを証明する書類(許可証の写し等)および日本語訳
  • 取次機関に関する申告書(通達様式第10号)
🚨 特定技能(在留資格)に関する注意 特定技能の在留資格について、相手先国によっては政府が取次機関を認証する等、遵守すべき手続が定められている場合があります。出入国在留管理庁(入管庁)のホームページを必ず確認してください。
💡 外国語書類の扱い 外国語で記載された書類には日本語訳の添付が必要です。
  
📎 参考リンク(労働局)
国外にわたる職業紹介の申請・届出に必要な書類 労働局PDF
📋 国外にわたる職業紹介 追加書類一覧(労働局PDF)
国外紹介における主な運営上の注意点
  • 相手先国の労働法・ビザ(在留資格)要件を事前に調査・確認すること
  • 求職者に対して就労先国の労働条件・生活環境等を十分に説明する義務がある
  • 紹介先企業の実在性・業務実態を確認し、不当な労働条件での紹介を行わないこと
  • 手数料は求人者(採用企業)から徴収することが原則で、求職者からの徴収は原則禁止
  • 外国人の個人情報については個人情報保護法に加え、相手先国の個人情報保護法令にも留意が必要

9取扱禁止業務・注意事項

職業安定法により、有料職業紹介事業者が以下の業務に就く求職者を紹介することは原則として禁止されています。

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港湾運送業務

港湾労働法に基づく登録制度が設けられているため、有料職業紹介は認められません。

🏗️

建設業務

土木・建築・解体等の建設業務への紹介は原則禁止。労働者派遣との混同・重複を避けるための措置です。

その他の主な注意事項
  • 求職者からの手数料徴収は原則禁止(求人者からのみ徴収可)
  • 事業所名・Webサイト表現で「ハローワーク」「労働局」等と紛らわしい名称の使用は不可
  • 求職者の人種・思想・信条・本籍・家族の職業・収入・支持政党等の収集禁止情報を取り扱わないこと
  • 高校・中学の新規卒業予定者への求人は「全国高等学校統一応募用紙」等の所定書類を使用すること
  • 許可証に記載された事業所以外で職業紹介を行わないこと(事業所追加には変更届が必要)
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